おくにしまさる-奥西勝
- 奥西勝
- 名張毒ぶどう酒事件
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- 真実が何か分からないが、司法の態度には基本的な疑問が残る。再審を始めるには新しい決定的な証拠が見つからないといけないとするものだ。一見、常識的な発想だが、そもそも最初の判決では何か決定的な証拠が提示されていたかどうか。総合的という感覚的な判断で結審させておいて、最新のときだけ決定的な証拠を要求するのは、正義に対してバランスしない。
- 再審請求を退けるには、現代の科学の目を通して、最初の判決の妥当性を説明する責任が司法にはあるはずだ。昔の未熟な操作、脆弱な科学的根拠を振り払っても尚妥当な判決だったかを公に理解しなければいけない。
- 再審請求で問われているのは司法の普遍性だ。門前払い的な態度があれば、それもまた司法の堕落といえるのではないか。
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http://www.asahi.com/articles/ASH5H65P6H5HOIPE02W.html
名張毒ぶどう酒事件、9回目の再審請求
2015年5月16日02時16分
三重県名張市で1961年、女性5人が亡くなった「名張毒ブドウ酒事件」で、奥西勝死刑囚(89)の弁護団は15日、名古屋高裁に9回目となる再審請求をしたことを明らかにした。異議棄却決定を不服として、最高裁に特別抗告を申し立てた第8次再審請求は取り下げた。
裁判のやり直しを求める再審請求には、無罪となるべき明白な証拠を新たに提出する必要がある。弁護団は第9次で、ブドウ酒の毒物が、奥西死刑囚が持っていた農薬ニッカリンTでないことを事件当時と同じ方法で再現・実証したとする独自の鑑定結果など8点を新証拠として提出した。
奥西死刑囚は2年前に危篤状態となり、先月末には40度超の高熱を出すなど不安定な体調が続いている。鈴木泉・弁護団長は「最高裁が仮にいい決定でも、下級審に差し戻し、その段階で新たな新証拠を提出することになる。最悪の場合、特別抗告の棄却も予想される」として、早期の審理を求めて最高裁への特別抗告を取り下げ、第9次の再審請求に踏み切ったという。
奥西死刑囚は津地裁で64年に無罪判決を受けた。69年の名古屋高裁で一転して死刑判決を受け、72年、最高裁の上告棄却で確定。その後、無罪を主張し、再審請求を繰り返している。
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