あらいかずひろ-新井和宏
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- NHKでやっていた。何と無く録画したもの。随分魅力的な人だ。志(こころざし)の大事さがわかる。
http://diamond.jp/articles/-/71249
『プロフェッショナル 仕事の流儀』出演!
鎌倉投信・新井和宏が本当に伝えたかったこと
どこまでも謙虚に、
誰よりも強く想い、
日々の小さな努力を積み重ねる――
5月11日に放送された『プロフェッショナル 仕事の流儀』で、「金融のプロフェッショナルとは?」と聞かれてこう語った新井和宏氏。いい会社に投資して利益をあげる異色の金融ベンチャー「鎌倉投信」でファンドマネージャーを務める新井氏に、この言葉の真意を改めて語っていただいた。
どこまでも謙虚に――
「なんで金融の人ってあんなに偉そうなの?」
これは、企業の方とお話していて、実際によく言われたことです。
リーマン・ショックの激震冷めやらぬなか、当のリーマンブラザーズの社長が「私も被害者だ」と言ってのける――。そんな業界ではこう思われても致し方ないでしょう。
まさにそのリーマン・ショックの最中の2008年11月、私たちは「鎌倉投信」という変わった金融ベンチャーを創業しました。そのとき、創業者4人の頭の中にあったのは、「金融が真摯に反省し、変わらないといけない」ということでした。
それでは、金融が変わるために必要なのは何なのか。それこそが、「謙虚さ」でした。
というのも、私が「いい会社」だと考える会社の経営者は、謙虚な方が多いからです。
「運がいい」「いい社員に助けられている」「自分は何もしていない、社員ががんばっているだけだ」――挙げはじめるときりがありません。みなさん、真摯で、謙虚なのです。
そうした「いい会社」を支える金融の人間がふんぞり返っていては、事業を深く理解することも、人財の質を評価することも、ましてや金融で最も大事な仕事の1つである信用を創造することすらも、できるはずがありません。
誰よりも強く想い――
もちろん、「謙虚さ」だけでは、持続可能なビジネスも、持続可能な金融も生まれません。それでは、次に何が必要なのでしょうか。
スキルはどうか。必要だが十分条件ではない、と私は考えます。スキルは所詮、熱意と時間が解決してくれるものです。私自身、運用するための特殊能力やスキルがあるわけではありません。
このこともまた、「いい会社」が教えてくれます。厳しい競争の中で生き残っている企業の経営者に共通しているのは、特殊なスキルではなく、「あきらめの悪さ」です。なぜあきらめきれないのか、その原因を突き詰めていくと、「誰よりも強く想う」気持ちに辿りつきます。つまり、「誰よりも(その事業について)強く想っている」のです。
実はこのことは、金融だけではなく、どの業界にいるプロフェッショナルにとっても大事なこと。なぜならその仕事や事業(理念)は唯一無二であるはずだからです。
ファンドマネージャーとしては、特にベンチャー企業に投資する際はこれを一番大切に考えています。番組にも登場したトビムシの竹本社長の「林業」に対する想いは本当に深く、初対面のとき、お茶1杯で5時間、お話したほどです。そして金融ベンチャーに身を置く私も、自分が運用する商品「結い2101」に全財産を投じています。
日々の小さな努力を積み重ねる
一般にファンドマネージャーは、予測を立てて運用をします。ファンドマネージャーの能力は、予測能力の高さだといっても過言ではありません。
ですが私は、予測をしません。番組でもいったとおり、予測は当たらない、と思っているからです。
金融のプロならば、どんな相場になっても投資しつづける必要があります。投資期間を限定し、数銘柄を予測するのならば、金融工学を駆使すれば私にも当てる自信はあります。しかし「どんな相場になっても」となると、そんなことができる人も、それを可能にする完全な数式も、この世には存在しません。
リーマン・ショックを経て、私はできないことを「できない」と言えることがプロなのでは、と思うようになりました。その結果辿りついたのが、予測をやめ、プロ野球のイチロー選手のように努力することで結果が出せることを、毎日くり返す、ということでした。
金融のプロフェッショナルとして、お客さまの期待に応えて「投資の果実」をもたらすためには、地味で小さな日々の努力の積み重ねしかないのです。
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新井和宏(あらい・かずひろ)
鎌倉投信 株式会社 取締役 資産運用部長
1968年生まれ。東京理科大学工学部卒。1992年、住友信託銀行(現・三井住友信託銀行)に入社。2000年にはバークレイズ・グローバル・インベスターズ(現・ブラックロック・ジャパン)に入社。多岐にわたる運用業務に従事し、ファンドマネージャーとして数兆円を動かした。
2008年11月、志を同じくする仲間4人と、鎌倉投信株式会社を創業。2010年3月より運用を開始した投資信託「結い 2101」の運用責任者として活躍している。経済的な指標だけではなく社会性も重視する、投資先企業をすべて公開する等、従来の常識をくつがえす投資哲学で運用されている商品ながら、個人投資家(受益者)8900人以上、純資産総額130億円超(どちらも2015年2月時点)となっている。2013年には格付投資情報センター(R&I)でも日本一を意味する最優秀ファンド賞(投資信託 国内株式部門)を獲得。
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